函館地方裁判所 昭和37年(ワ)252号 判決 1963年11月13日
主文
被告は原告に対して金一三七万〇七〇二円及び内金八八万三六四四円に対する昭和三五年一〇月一日から支払済まで年五分の割合の金員を支払うべし。
訴訟費用は被告の負担とする。
事実
原告は主文と同旨の判決を求め、請求原因として、
原告は昭和二五年三月三一日被告に対し青森県下北郡大湊町(現在むつ市)所在の
(イ) 立木(杉、松、雑木)一九三八石二合一勺を 代金 三三万四五一七円
(ロ) 建物(工場建、雑屋建)三棟二六五坪を 代金 一九万三三八〇円
(ハ) 建物(住宅建)二六棟延一、一八一坪を 代金 四四万九五六〇円
(ニ) 建物(住宅建、倉庫建、雑屋建)一六棟六七三坪九勺を 代金 二五万二一一五円
(以上代金合計一二二万九五七二円)、支払期は原告国が発行する納入告知書により指定期日までに納入支払うこと、期日までにその支払をしないときは被告は民法所定の遅延損害金を支払うこと、との約定で売渡した。
そして原告はその後被告に対し昭和二五年四月一五日限り右代金を納入支払うよう指定告知した、ところが被告は昭和二六年三月三一日から同三一年五月三一日までに右内金として合計三四万五九二八円を支払つたほか残額八八万三六四四円及び同二五年四月一六日から同三五年九月三〇日までの約定の年五分の割合の延滞金四八万七〇五八円を支払わない。そして右合計額は一三七万〇七〇二円となるので、同額及びその内金である前記売買代金残額に対する同三五年一〇月一日以降の遅延損害金の支払を求めると主張し、
被告の抗弁に対して(1)については否認、(2)も否認し、渡辺喜夫は金七〇万円の限度で被告の債務につき連帯保証したもので、被告と渡辺は原告から本件物件を共同払下を受けたものでもない。(3)本件は私法上の売買に基づくもので、被告の主張は理由がない、(4)の抗弁を争い被告が鉱業採石業を営む商人とみらるべきものであるとの事実は不知、と主張した。
(立証省略)
被告は請求棄却の判決を求め、答弁として請求原因事実は認めるも、次の通り抗弁を提出した。即ち(1)被告は原告主張の代金の内金三四万五九二八円を支払つたほか、残代金の内金として昭和二六年七月八日金一〇万円を弁済した。(2)昭和二五年一〇月青森財務部事務所において原告と被告と渡辺喜夫との間において払下立木の半分、建物につき渡辺喜夫が残代金を支払うこととし、原告は江藤誠一財務部長、対馬管財第二課長において被告の右債務を免除した。(3)原告主張の債権は公法上の債権であつて、被告が原告主張の残代金内金を支払つた昭和三一年五月三日から五年の経過により会計法第三〇条第三一条により時効消滅した。(4)被告は鉱業採石業を営んでいたもので商人とみらるべきであるから本件債務は五年の商事時効により消滅している。
(立証省略)